事業場外みなし労働時間制における残業代の請求の可否

事業場外みなし労働時間制とは、労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事していた場合で、労働時間を算定することが難しいときに所定の労働時間ほど労働したものとみなす制度です。例えば、営業マンであれば、顧客に営業に出かけることが多くなりますが、会社からしたら顧客のところできちんと営業しているのか、それとも喫茶店等でさぼっているのか把握が困難です。その際に実際に労働時間を申告させるような手間は無駄ですし、会社側が不当に労働時間を短く設定したら労働者に損となります。そこで、事業場外みなし労働時間制という制度を労働基準法制下に導入して1日8時間が所定労働時間の会社で、丸1日営業にでていたような場合であっても8時間労働したものとみなすという取扱いにしたのです。

この事業場外みなし労働時間制は、労働者にとってメリットがある面がありますが、実際に顧客先営業がどう考えても12時間必要であるといった場合にはどのように取り扱うのでしょうか。会社としては、所定労働時間とみなすので残業代は払いませんという考え方もあるでしょうが、これは労働者に酷です。そこで、このような場合には、通常必要とされる時間をみなし労働時間とする制度となっています。したがって、この場合は、みなされる労働時間が12時間で4時間分は時間外労働ということとなります。

よって、残業代を会社に請求することが可能となります。ただし、労働者の過半数以上で組織される労働組合と会社との協定がないと通常必要とされる時間は立証が困難となります。そのような場合に残業代を請求する場合には、弁護士等の専門家に相談して請求していくとよいでしょう。

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